安藤啓一、上田泰正「狩猟始めました 新しい自然派ハンターの世界へ」(ヤマケイ新書)を読みました。2014年刊
著者が狩猟を始めた理由、著者の狩猟の記録、野生動物との関わり方などについて書かれた本でした。
自給自足に憧れる私としては、狩猟は避けては通れない道。将来自給自足するときのために読んでみた一冊です。
読んでみた結果、私には猟銃を使用した狩猟は無理そうという結論に至りました(-_-;)
野生動物は匂いや音に敏感なので、単独猟の場合、冬の寒い山の中で獲物が近づいてくるのをじっと待たなければならないそうです。私は寒い時期にはぎっくり腰になりやすいですから、万が一、冬の山の中でぎっくり腰になったら確実に低体温症で死んでしまう・・・。なので、これは無理だなと思った次第です。
狩猟をするのであれば、わな猟ですね。わな猟はわな猟で止めを刺すのが大変ですが、猟銃を使用する場合より、肉の鮮度を落としにくいそうですし、私にはこちらが合っているような気がしました。やったことないので分かりませんが・・・。
本書によれば、野生動物が急増していて農林業も大きな被害にあっているそうです。野生動物との共生は難しく、やはり棲み分けが必要ではないかという議論が紹介されています。
せっかく育てた野菜等が一夜にして野生動物に食い荒らされてしまったときのショックは相当大きいようで、それをきっかけに野菜を育てるのを辞めてしまう高齢者もいるのだとか。高齢者から生きがいを奪ってしまうという問題があるわけですね。
そのため鳥獣害対策として年間50万頭の鹿や猪が捕殺されているそうですが、ほとんど食肉として利用されておらず、焼却処分や埋設処分されているという現実。
きちんと処理すれば食べられるにもかかわらず、勿体ないですよね。日本では海外産の食肉を大量に輸入して消費しているわけですから、ジビエを上手く活用すれば、食料自給率も上げられるはずです。
しかも、ジビエは臭いというイメージは適切に処理されていないからであって、適切な処理・加工さえ施せば美味しく食べられるというのです。
だったら、そのノウハウを研究して、日本人全体でジビエを食べる文化を醸成していけば、鳥獣害対策にもなり、食料自給率も上げられて、命を粗末にする現状も変えられるということになりますね。
既にそのような活動をされている方々も多くいらっしゃるそうですが、まだまだ規模が小さい。
大きな資本を持つ企業に協力してもらえればいいのですが・・・。
それはともかく、野生動物との関わり方を考えさせられる一冊でした。