読書。日本の法を考える

利谷信義「日本の法を考える」(東京大学出版会)を読み直しました。

 

この本は大学院時代の「法曹倫理」という授業の教科書というか、参考図書として指定されていたものです。初版が1985年ですから、私が赤ん坊の頃に出版されたものですが、今でもリーダブルだと思います。10年くらい前に「新版」も出版されたくらいですから。

 

この本で1番意外だったのは、明治時代の日本人の司法に関する意識です。現代日本では、裁判はなるべく避けるものという意識が浸透しているように思われますが、明治時代はバンバン裁判やる風潮があったそうです。今と制度が異なるので単純な比較はできませんが、自由民権運動の最盛期(明治15年頃)には民事訴訟・勧解の合計が130万件もあったそうです。今は地裁・簡裁を合計しても45万件程度。明治15年当時の人口か3000万人程度だったことを考慮すると、日本人もかなり裁判をやっていたということになります。しかも、現代より交通事情も不便で裁判所の数も少なかったでしょうから、当時の日本人の権利意識というものは相当なものであったと推測されるわけです。

 

我々の常識なんて、つい数十年程度のことで、常識なんて固定化されるようなものでもないということをこのとき学んだ記憶があります。

 

本書では、弁護士のプロフェッション論や弁護士自治などについても言及されていますが、やや専門的な話になってしまうので、ブログでは割愛させていただきます。

 

普段、お酒のことか、自給自足妄想の話ばかり書いている私ですが、その気になれば真面目な話も書けるのです。まあ、誰が読むのかという問題がありますが(笑)

 

とにかく、「初心に帰る」という意味ではいい読書だったと思います。酔っているので、頭に残ったかは疑問ですが(-_-;)